Research

ゼオライトの物理化学特性に関する研究

ゼオライトは主にアルミニウムとケイ素からなるテクトケイ酸塩鉱物であり、吸着能力・陽イオン交換能力・触媒能力・分子篩能力を有する。有害物質の吸着に期待されており、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質のイオン交換優先順位が高く、放射性物質の吸着に期待されている。本研究室では、より高効率なセシウム吸着剤を開発するのみならず、有害物質の分解触媒活性などといった新規応用分野の開拓を目指している。

ゼオライトの構造 ※1 Morag Murdoch, Rachel Yeates, Russell Howe (2007)

事故後の福島第一原子力発電所 ※2 http://www.asahi.com/photonews/gallery/fukushimagenpatsu/

光触媒と環境浄化に関する研究

可視光応答型光触媒の開発と、それを大気・水環浄化へ応用する研究を行っている。 従来の光触媒は紫外光に対してしか活性を示さなかったため、用途が屋外、または紫外灯下に限られていた。 しかし、可視光に対しても活性を示す酸化タングステンを用い、さらにメソポーラス構造で高比表面積化を達成することで、室内や車内での有害物質の捕獲・分解が可能となると期待されている。

メソポーラス構造を有する光触媒

光触媒イメージ

ハイドロキシアパタイトを用いた生体材料に関する研究

歯や骨を構成する無機成分の主成分であるハイドロキシアパタイトが持つ生体親和性、イオン交換特性、吸着特性などを利用して生体材料に応用するための研究を行っている。現在は、水熱合成法により合成したハイドロキシアパタイトのナノ粒子を用いて免疫賦活剤=アジュバンドを調製し、その有効性、安全性及び物理化学特性の評価を行っている。

ハイドロキシアパタイトナノ粒子

ハイドロキシアパタイトの構造

ジオポリマー建材の高機能性付加に関する研究

ジオポリマーとは、Al、Siを多く含む活性な粉体とアルカリ性溶液の縮重合によって 形成された非晶質のゲルの硬化体である。

・高炉スラグを添加した塩害対策ジオポリマー硬化体の作製と評価

高炉スラグの添加量が少ないと塩化物イオンの浸透抑制に対する効果は得られなかったが、添加量を多くすることによって塩化物イオン浸透抑制に対する効果が得られた。しかし、高炉スラグの添加に伴う結晶質物質は生じておらず、非晶質相に塩化物イオンが固定化されていると考えられる。

高炉スラグ:鉄鉱石から鐵鋼を精錬する際に分離された不純物。塩化物イオン浸透抑制に効果的。

塩害:塩化物イオンがコンクリート中に侵入することによって、内部の鉄筋が腐食、膨張してひび割れを起こすこと。

*1 リハビリ工法研究会   http://www.rehabilitate.jp/?cn=100018